マスクにまつわる裏話　その２

ＨＫマスクの問題点について語ると申しましたが、
ＨＫマスクは「つけちゃダメマスク」ではありません。

誤解の無いように。

ただ、いろんな方の紹介の仕方には
かなり問題があると感じているのです。

ＨＫマスクについて細かく見ていく前に
まず、マスクについて知識を深めておきましょうか。

マスクは今、大まかに３つ。
不織布の使い捨てマスク・布マスク・それ以外のマスク。

不織布マスクの中には、医療用マスクもあります。

繰り返します。
不織布マスクの中には、医療用マスクもあります。

つまり、不織布マスク＝医療用マスクじゃありませんわよ。

不織布マスクの長所は、害のある成分の遮断力の高さ。
短所は短時間しか使えないこと。

布マスクの長所は、繰り返し使えること。
短所は遮断力の弱さ。

そう言われているわけです。

これから申し上げる布マスクの布は、
一般的なダブルガーゼのものと思ってお聞きください。

布マスクについて、誰かが
「網戸に小麦粉を投げつけているようなもの」
と表現しているのを見かけました。

まぁ、最もシンプルな布マスクは
そう言われても仕方ないものはありますのよ。
なぜって、目が粗いからです。

避けなければいけない対象ブツは
ミクロの世界の住人ですからね。

大体のサイズですが、
花粉が 30μm。
人の細胞が 10μm。
PM2.5は名前の通り 2.5μm。
細菌が 1.0～2.0μm。
ウイルスは 0.1μmとのこと。

ガーゼの網目サイズと言ったら。。目に見えますわね。
0.5mmくらいですか？

0.5mmは500μm。ウイルスが0.1μm。

このサイズ比だと、様々なものが素通りも良いところです。
花粉の約16倍で、ウイルスなら5000倍の網目ですものね。

でもね、これはウイルス単体サイズと布の目のサイズを
単純比較した場合のデータなんですのよ。

医療関係者も普通にこの比較データのみで語ったりなさるので
「そうか。。布マスクなんか氣休めか。。」
とがっかりなさっている方も多いのでは。

もう一度申し上げます。。

これ、ウイルス単体サイズと布の目のサイズを
単純比較した場合のデータなんですのよ。

ウイルスが「単体」でマスクに向かって「直進」してくるなら
このサイズ比較データの結果のまんまでしょうね。

さて、飛沫は5μmと言われているわけですが、
ガーゼマスクの網目500μmなら、100倍サイズの網目。

自分のサイズの100倍もの穴を通り抜けられないなんて
あり得るのかという話なのですが、
布マスクを着用している時に目の前でくしゃみされたとして、
その飛沫が100%かかったことがある！という方は。。

まぁいらっしゃらないのでは。

実際のウイルスは適当に自由自在に動きますし、
障害物があるから～布繊維があるから～避けなくちゃ♪
なんて考えません。

真の自由な世界に存在しているのがウイルス。
いろんな意味で傍若無人。

比較的、直進と言ってもいい動きを取るのは飛沫ですわね。
でも飛沫は「ウイルス単体」ではありませんでしょ。

飛び出した段階で水分に包まれていますからね。
そのサイズはおおよそ５μmと言われています。

飛沫状態のウイルスおおよそ５μm。
あらもういきなり５０倍サイズ。

そして、飛んでいるうちにも水蒸氣だのほこりだの
どんどん付着しますもの。

もっと肥大化していきますわ。

さぁ想像してみましょう。

車１００台が横並びで同時に入れるくらいの
広い間口の門があったとします。

普通に考えれば、人間ひとりがその門を通過することに
何の支障がありますか？という広さですわね？

ただしそれ、人が一人まっすぐに門を通過しようとする
イメージしか持たずに判断しているわけです。

実際は５０人以上の前後不覚に酔っぱらった千鳥足のおっさんが
全員で肩を組んで門に向かっているような感じ。

おっさん集団は門にぶつかると、そこで座り込むことが多い。

さぁ、いきなり門通過の難易度上がりましたわよ！

しかもこれは１グループのみしか見ていないのですもの。
この酔っ払い軍団が、他のグループと出会って合体すれば
もっと巨大化。。

布マスク否定論者が布の目の粗さとウイルス単体サイズを
単純比較して「氣休め」「飛沫対策には多少の効果」
なんて言い続けていらっしゃるのに、
毎年のインフルエンザ対策として布マスクが
なかなか優秀な結果を出しているのは、この辺が理由でしょう。

つまり、単純比較データがそのまま生きる環境で
布マスクが使用されることはありません。

「布目 0.5mmとウイルス0.1μmなら5000倍のサイズ差！
　布マスクなんか意味ない！」

という主張はよく見かけますが、
布１枚だけでマスク作ったりしませんからね。

布が重なるほど、門のサイズも狭くなります。
そして酔っ払いおっさんは一人じゃなく集団です。

人もウイルスも動きますし、ウイルスはサイズ変わりますし、
マスクは布が重なっているので、
「人もウイルスも一切動かない場合における
　布１枚の目の粗さとウイルスのサイズ差」
 がそのまま適用されるシチュエーションって
 ちょっと考えにくいでしょう？

というわけで、布マスク否定論者が言うレベルの
低機能ではないですわよ布マスク。

それでも、門のサイズをもっと狭くしたい。。
それでいて必要な広さは確保したい。。
というのが布マスクが抱える課題なのです。

くどいようですが、もう一度まとめましょう。

500μmの穴を通れない5μmが大いに存在している
可能性は高いのです。

なぜなのか。

１　全てが穴の真ん中を通り抜けるわけではなく、
　　要するにノーコンピッチャーの大暴投したものが
　　繊維に衝突している。

２　実は5μmですらなく、もっと巨大化している。

３　布を重ねたら、網目サイズは500μmより狭くなる。

サイズ100倍の穴でも、枠に当ててしまうほどの
残念コントロール飛沫は、繊維に防がれます。

また、飛んでいる間に周囲の水分だのほこりだので膨れれば
5μmは維持出来ません。

そして布を重ねたら当然網目サイズは小さくなるわけです。

まだよく分からない。。
という方がいらっしゃるかもしれないので
別のたとえ話をしますわ。

上で網戸の表現を見かけたと申し上げましたが、
ワタクシはザルでお話ししてみましょう。

キッチングッズのザルですわよ。

ザルに小麦粉をばさっと入れてみて下さい。
かなりの量が素通りしますわね。

小麦粉のサイズはザルの目より小さいのです。
小麦粉はどんどん通り抜けますわ。

でも、通り抜けていない小麦粉も発生します。
（揺らしたり叩いたりは無しで。）

同じザルを重ねてみましょう。
ザルの中に残る小麦粉が増えていきますわね。

布マスクは基本的に網目サイズ勝負ですから
害の遮断力を上げようとすれば、布を重ねることになります。

上でいうところの、ザルを重ねた状態。
布を重ねれば重ねるほど、ウイルスが入って来にくい。

でも高いウイルス遮断機能にまで持っていくなら
口の前には凄まじい布の重なりという見た目の残念さと
窒息の苦しみが待っていますわね。

これが布マスクの抱える課題。
ですが、否定論者が言うほど低機能でもない。

つづきは次回、引き続きマスクの基礎知識について語ります。

ＨＫマスクの問題点を知って頂くためには不可欠要素ですので。