ギベオン隕石をご存知でしょうか?
ナミビアのハルダプ州で発見されて以来、人々の心を魅了し続けている鉄隕石のひとつです。
メタリックな質感に浮かぶ不思議な模様はとても神秘的ですよね。
この模様は「ウィドマンシュテッテン構造」と呼ばれ、できるまでに数百万年もの年月がかかるのだそうです。
そんなギベオンですが、日本にギベオン職人がいることはあまり知られていません。
今回取材を申し込んだところ、仕事を知ってもらえる機会だと快諾していただきました。腕は確かなのに人間国宝の書類選考に落ち続けているそうです。この取材が認定の後押しになれば嬉しいとのこと。
というわけで、
ギベオン職人に密着取材し、ギベオンができるまでをお届けします!
AM 8:55
「いいギベオン作りには鮮度が欠かせない」
職人はそう言いながら、開店前のスーパーの前を陣取ります。
開店とともに店内に飛び込み、調達してきたのは新鮮なアルミホイルでした。
一巻き8メートルもあれば十分だそう。
大きなギベオンを作る場合は量を増やしますが、
今回は取材時間の都合で小さめに仕上げていただきます。
AM 9:45
さっそく作業に取り掛かります。
8メートルのアルミホイルを丸めるのはなかなか大変。
なるだけギュッと詰めながら丸めるのがコツだそうです。
8メートル分の玉ができました。
この時点でもメタリックカラーにギベオン隕石の面影を感じます。
AM 10:00
現時点では手のひらに収まらない大きさですが、
ここからハンマーで叩いて圧縮していきます。
叩きつづけて30分が経過...
1時間経過...
1時間半...
2時間ほど叩きつづけたものがこちら。
手のひらに対してだんだん小さく、そして表面がなめらかになっているのがお分かりいただけますでしょうか。
さらに数百万年ほど叩きつづけると
ギベオン特有の模様「ウィドマンシュテッテン構造」が現れますが、今回は時間の都合もあり、叩き2時間で仕上げに取り掛かります。
PM 2:00
目の粗いサンドペーパーから磨きはじめ、だんだん細かいものに変えていきます。
みがき上がったものがこちら。
完全な球ではない、ややいびつな形が隕石らしさを際立たせていますね。
PM 4:00
ここまできたらあと少し。
仕上げに液状研磨剤・ピカールで磨き上げます。
仕上げなので念入りに行います。
30分ほどかけて磨き上げ、水で洗い流すと...
ピカピカに金属光沢が出て、立派な1日ギベオンが完成しました!
数百万年かかっているギベオン(左)と比べても
「ウィドマンシュテッテン構造」以外は
同じ見た目といっても過言ではありません!
以上、ギベオンができるまでのご紹介でした。
さすがに人間国宝候補ほどのギベオン作りは難しいと思いますが、
お時間のある方はぜひ数百万年ギベオンに
チャレンジしてみてくださいね!!